フィルハーモニア・アンサンブル東京
2012年 04月 22日
元ベルリンフィルのビオラ奏者、土屋邦雄さん指揮によるフィルハーモニア・アンサンブル東京のビオラメンバーとして演奏した。このような形になって3回目のコンサートだが、私は2度目の参加。
曲は、バッハ ブランデンブルク協奏曲
第3番・第5番
ドヴォルザーク 弦楽セレナーデ
メンバーは、日頃いくつかのアマチュア音楽団体で活動している人たちがこの日のために集まって、ドイツ滞在の土屋さんが日本にいる1ヶ月の間に集中的に練習してきた。
この演奏会を、なんとあの小澤征爾さんが聴きに来てくださった!
そのことを、あとで娘に話したらびっくりぎょうてん。
「小澤征爾指揮のコンサートを聴きに行くことだってすごいのに、お母さんの演奏を小澤征爾が聴きに来たとっ??!!」
いや、小澤さんは旧知の土屋邦雄さんに会いにいらしたのであって、けして私たちの演奏を聴くためにいらしたのではアリマセン。
◎会場は今年も上野旧東京音楽学校奏楽堂。昨年は2月の寒い時期だったが、今年は八重桜が満開に。でも午後になって激しい雨が降り始め、肌寒いあいにくの天気だった。
◎建物は、国の重要文化財に指定されている。
◎去年も写真に撮ったけど、トイレの「便所」「女」が昭和を感じさせる。近くにいたチェロの男性に「べんじょ、って書いてありますよ!」と言ったら「あ、そうですね」とスルーされてしまった。
レトロですよね、と言いたかったのに・・・。
「べんじょ!」と叫んだまま取り残された私って・・・。
◎舞台セッティング。全員で働いて譜面台を出し過ぎてしまい、また戻している。これも去年と同じ光景。本番では、演奏者はパイプオルガンの左横の小さなドアから登場する。楽屋から急な階段を昇ったどん詰まりがこのドアで、女性はドレスの裾を踏みそうになりながらよろよろと出て来るのだ。
◎客席。固そうな椅子やカーテン、簡素なシャンデリアが時代を感じさせる。
◎30分しかないステリハで、要点のみをチェックする土屋邦雄さん。
◎楽屋。開演前に「小澤征爾さんいらしてます。もう席に座っていただきました」という情報が。にわかに緊張が走る。
あとで聞いた話だが、小澤さんは一人で電車を乗り継いで、雨の中上野駅から歩いていらしたそうだ。そして、入口前の行列の最後尾で傘をさしながら待っていたという。お客様の一人が気付いて知らせてくれ、受け付けの人が中へ案内したそうだ。
開演前、土屋さんが小澤征爾さんを紹介し、小澤さんが立ってプログラムを振って挨拶すると客席が騒然となり大きな拍手が。(この日一番の拍手だった・・・汗)
休憩時間に楽屋へ降りると、客席側から来た小澤さんがにこやかに「ここまで降りて来るのたいへんだねぇ」などと私達に声を掛けて下さった。病気療養中と聞いていたがとてもお元気そうだった。そのまま指揮者楽屋へ入り、中から「おおぉ~」「いやいや」などと土屋さんと交わす声が聞こえてくる。小澤さんは、前半のみ聴いてそのまま帰られた。
今回も、全パート土屋さん自身が書き込んだポーインクとフィンガリング付きの楽譜を使用。
「楽譜に書いてないことはやらない」こだわりの奏法。でも「 p と書いてあっても自己主張したければ出ていい」「気持ちが高ぶれば(書いてなくても)クレッシェンドしていい」という感情重視の考えもある。(ただし、楽譜に書き込んではいけない。書き込むと本当の f やクレッシェンドになってしまうから、という微妙なところではある)
というわけで、全員が f で弾き続ける場面が多くなり、音価分伸ばす、減衰しないという音の出し方で力強さが増す。
土屋さんの理想とするこれらの奏法や表現方法を、私たちがもしパーフェクトに再現できれば、ベルリンフィルの音になるのかも知れない。
しかし・・・、結果は・・・、どうだったでしょうか・・・。
土屋さんは、練習の間、私たちが弾けないこと、思うような音を出せないことについて、けして厳しい言葉で批判されなかった。あくまでも辛抱強く指導してくださった。
ブランデンブルク5番で素晴らしいピアノソロを弾かれた奥様が心配して「大丈夫なの」と言ったときも、「まあ、見てなさい。最後の1週間で変わるから」と言われていたそうだ。
しかし、打ち上げで土屋さんは「ぼくは滅多なことでは泣かないけど、今度ばかりは・・・」と、初めて心情を明かした。心配したが本番はなんとかまとまった、という前向き発言ではあったが、最後に冗談めかして「だけどもうちょっとうまく弾けよな」と痛い一言。
小澤征爾さんからは、「(指揮者が)力むと音楽が固くなるよ」と言われたそうだ。でも、私たちが転んだりよろけたりズレそうになったりすれば、力まないわけにいかないだろう。
土屋さんのためにも、次回はもうちょっとうまく弾きたいものです。
◎女性は思い思いのカラードレスで演奏しました。
曲は、バッハ ブランデンブルク協奏曲
第3番・第5番
ドヴォルザーク 弦楽セレナーデ
メンバーは、日頃いくつかのアマチュア音楽団体で活動している人たちがこの日のために集まって、ドイツ滞在の土屋さんが日本にいる1ヶ月の間に集中的に練習してきた。
この演奏会を、なんとあの小澤征爾さんが聴きに来てくださった!
そのことを、あとで娘に話したらびっくりぎょうてん。
「小澤征爾指揮のコンサートを聴きに行くことだってすごいのに、お母さんの演奏を小澤征爾が聴きに来たとっ??!!」
いや、小澤さんは旧知の土屋邦雄さんに会いにいらしたのであって、けして私たちの演奏を聴くためにいらしたのではアリマセン。
◎会場は今年も上野旧東京音楽学校奏楽堂。昨年は2月の寒い時期だったが、今年は八重桜が満開に。でも午後になって激しい雨が降り始め、肌寒いあいにくの天気だった。
◎建物は、国の重要文化財に指定されている。
◎去年も写真に撮ったけど、トイレの「便所」「女」が昭和を感じさせる。近くにいたチェロの男性に「べんじょ、って書いてありますよ!」と言ったら「あ、そうですね」とスルーされてしまった。
レトロですよね、と言いたかったのに・・・。
「べんじょ!」と叫んだまま取り残された私って・・・。
◎舞台セッティング。全員で働いて譜面台を出し過ぎてしまい、また戻している。これも去年と同じ光景。本番では、演奏者はパイプオルガンの左横の小さなドアから登場する。楽屋から急な階段を昇ったどん詰まりがこのドアで、女性はドレスの裾を踏みそうになりながらよろよろと出て来るのだ。
◎客席。固そうな椅子やカーテン、簡素なシャンデリアが時代を感じさせる。
◎30分しかないステリハで、要点のみをチェックする土屋邦雄さん。
◎楽屋。開演前に「小澤征爾さんいらしてます。もう席に座っていただきました」という情報が。にわかに緊張が走る。
あとで聞いた話だが、小澤さんは一人で電車を乗り継いで、雨の中上野駅から歩いていらしたそうだ。そして、入口前の行列の最後尾で傘をさしながら待っていたという。お客様の一人が気付いて知らせてくれ、受け付けの人が中へ案内したそうだ。
開演前、土屋さんが小澤征爾さんを紹介し、小澤さんが立ってプログラムを振って挨拶すると客席が騒然となり大きな拍手が。(この日一番の拍手だった・・・汗)
休憩時間に楽屋へ降りると、客席側から来た小澤さんがにこやかに「ここまで降りて来るのたいへんだねぇ」などと私達に声を掛けて下さった。病気療養中と聞いていたがとてもお元気そうだった。そのまま指揮者楽屋へ入り、中から「おおぉ~」「いやいや」などと土屋さんと交わす声が聞こえてくる。小澤さんは、前半のみ聴いてそのまま帰られた。
今回も、全パート土屋さん自身が書き込んだポーインクとフィンガリング付きの楽譜を使用。
「楽譜に書いてないことはやらない」こだわりの奏法。でも「 p と書いてあっても自己主張したければ出ていい」「気持ちが高ぶれば(書いてなくても)クレッシェンドしていい」という感情重視の考えもある。(ただし、楽譜に書き込んではいけない。書き込むと本当の f やクレッシェンドになってしまうから、という微妙なところではある)
というわけで、全員が f で弾き続ける場面が多くなり、音価分伸ばす、減衰しないという音の出し方で力強さが増す。
土屋さんの理想とするこれらの奏法や表現方法を、私たちがもしパーフェクトに再現できれば、ベルリンフィルの音になるのかも知れない。
しかし・・・、結果は・・・、どうだったでしょうか・・・。
土屋さんは、練習の間、私たちが弾けないこと、思うような音を出せないことについて、けして厳しい言葉で批判されなかった。あくまでも辛抱強く指導してくださった。
ブランデンブルク5番で素晴らしいピアノソロを弾かれた奥様が心配して「大丈夫なの」と言ったときも、「まあ、見てなさい。最後の1週間で変わるから」と言われていたそうだ。
しかし、打ち上げで土屋さんは「ぼくは滅多なことでは泣かないけど、今度ばかりは・・・」と、初めて心情を明かした。心配したが本番はなんとかまとまった、という前向き発言ではあったが、最後に冗談めかして「だけどもうちょっとうまく弾けよな」と痛い一言。
小澤征爾さんからは、「(指揮者が)力むと音楽が固くなるよ」と言われたそうだ。でも、私たちが転んだりよろけたりズレそうになったりすれば、力まないわけにいかないだろう。
土屋さんのためにも、次回はもうちょっとうまく弾きたいものです。
◎女性は思い思いのカラードレスで演奏しました。
by pataponm | 2012-04-22 14:42 | 音楽