カテゴリ:音楽( 100 )

 

関東地方 2週続きの大雪 ①

関東地方に、2週にわたって記録的な大雪が降った。

◎2月8日の雪。この時点ではまだ「16年ぶりの雪」だった。
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まだまだ降りそうだったので、動けるうちに雪かき用のシャベルを買って来てもらう。
うちには先のとがった、雪かきには不便なシャベルしかなかったのだ。
それすらない家庭もあったらしく、テレビの中継では、子供の「したじき」で雪かきをしているお父さんがいた!

16年ぶりといえば、家族みんなで町中を歩き回って雪見をしたのを思い出す。娘と息子は、生まれて初めての大雪にはしゃいで、近所の子供たちと、かまくら作りをして遊んでいた。
私は忘れていたが、息子の話だと
「次にこんな雪が降るのはいつかな、って聞いたら、お母さんが『Rくんの声が、こ~んなに低くなったときじゃない』って(低~い声で)言ってた」そうだ。
その通りになったね、と笑っていたら、雪はさらに降り積もり、21年ぶり、ついには45年ぶりの大雪ということになった。
45年前の大雪も覚えている。学校の水飲み場から窓越しに校庭の雪を呆然と眺めた記憶がある。

夫には、一日かけて雪かきをしてもらった。
土日の雪でほんとーによかった~。

・・・と安堵していたら、翌週の土日にはさらにこれを凌ぐ大雪となった。関東地方としては、観測史上初である。
その日は、アマチュア演奏家が全国から集まるコンサートに出演予定の日で、横浜まで行かなければならなかったのだ。


b0134988_10102619.jpg家から都心への唯一の交通手段である路線は朝から「終日運転見合わせ」を宣言、車で乗り換え駅まで行こうと出たら、深い雪を車の腹でこすってバッテリーアラームがピーッと鳴った。そのまま車屋へ。雪が巻き込まれてエンジンの中に入ったらしい。
だましだまし、再び車を動かし始めたが、大渋滞で全く進まなくなった。
乗り換え駅を目指すのは諦めて、動いているか分からない別の路線の駅へ行く。

車道にも雪が積もっていて、車の轍が道の真ん中にあればいいが、あちこち雪のこぶがあるモーグル状態になっているところもあり、がたごとと進んだ。
あとから聞いた話だが、埼玉県には除雪車が1台もないそうだ。
至る所で雪かきをしている人がいたが、皆さん、集めた雪を「びしゃーっ」と、車道に投げて来るんですねー。「車で踏んで溶かして」ってか。

駅前の駐車場はどこも雪が積もっていて進入できない。たまたまスーパーの従業員たちが雪かきをしている駐車場があったのでようやく停めることができた。
ここまでで既に昼。ステージリハーサルは無理なのでキャンセルの連絡を入れる。
「本番も間に合わないかも」「ここまでして行く意味があるのか」「客は来ないだろうし」と、くじけそうになりながらスーパーのベンチで弁当を食べていたら、窓越しに電車が動くのが見えた。
次の電車は40分待ち、というのを辛抱強く待って、ようやく上野行きの電車に乗った。
そこからは、間引き運転ながらなんとかつながって、家を出てから5時間、ようやく会場にたどり着く。

着いてみて驚いたのは、出演者は1グループを除いて全員集まっていて、ステリハもこなしていたということ。
「もし全国からの出演者が全員揃っていて、うちだけ行けなかったら、一番近い埼玉だけに、恥だね」と話していたのだが、考えてみれば「関東地方」の大雪、最も大変なのは「一番近い」ところだったのかも。
でも、神戸から来たグループは、大雪を見こして2日前から来ていたと言っていた。
お客さんもかなり入っていて、コンサートが始まったら、会場の中は何事もなかったかのよう。

もしかして、本番間際に普段着で濡れたスノーシューズのままステージになだれ込むことになるのかなー、と心配していたが、ステリハはできなかったものの、楽屋で少しだけ練習して、ふだん通りの演奏はできたと思う。
というか、ここまでの行軍があまりにも大変だったので、演奏についてはもうどうでもよくなっていて、それで却って上がらずに弾けたのかも~?
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by pataponm | 2014-02-28 10:11 | 音楽  

山梨へ演奏旅行

山梨の高校の芸術鑑賞会で演奏するため、1泊2日で行って来た。
最初の日は、到着後そのまま練習会場へ行って3時間のリハーサル。夜はMさんのお宅で甲州ワインをご馳走になる。

◎翌朝、ホテルの窓から朝焼けを見た。西方面に開けている我が家から夕焼けはよく見るが、東の方角は建てこんでいるので朝焼けが見られない。
日が短い時期なので、朝の6時半くらいなのだが、すごーく早起きした気分。
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◎ホテルの朝ご飯を食べてから I さんの車に乗せていただいてホールへ。昼までたっぷりステリハ。
パイプオルガンのある立派なホールだった。
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◎本番前の休憩時間に外に出たら、もう高校生たちが友だちと連れ立って集まって来ていた。
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芸術鑑賞会は、2年に一度のイベントで、生徒は皆、在学中に一度は経験できるというものだそうだ。
「ふだんCDやラジオでしか聞いたことのないクラシックの生演奏を聞く機会・・・」と先生がオープニングの挨拶でおっしゃっていたが、そんなに貴重な機会なのに私たちの演奏でいいんだろうか・・・、と不安がよぎる。

曲は、第1部はラデツキー行進曲、アイネクライネ、パッフェルベルのカノンなどのポピュラーなクラシック曲や、ソプラノ歌手をお迎えして、アベマリア、ハレルヤなどの有名曲。
生徒たちはだんだんザワザワしてくる。最前列にいる男子生徒たちなんて、足を投げ出して全身で「やってらんねー」感を出している。(態度悪い子ほど前の席に座るのは何故?)

休憩はさんで第2部の最初に、「おもちゃのシンフォニー」で吹奏楽部の生徒たちと共演。聴衆の生徒たちは、同校の生徒たちが出て来たので「おやおや?」という空気になり、ちょっとだけ集中。
それから、ナウシカのテーマとか復興支援ソング「花は咲く」、それから嵐のヒット曲「Believe」「Happiness」などを演奏し生徒たちにも歌わせたら、ようやく少し楽しみ始めたようだった。

アンコールに「上をむいて歩こう」を演奏したら、うおぉ~っ、と万雷の拍手が来た。あれは、ぜったい「うおぉ~っ、終わったぞ~!」の歓声だったに違いない。(坂本九が嵐より人気があるとも思えないしね)


◎この町は、ふつうに道を歩いていてこんなに雄大な富士山を見ることができるのです。
手前の「入居者募集中」のアパートに住んでみたい。
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◎町の周りは山なみに囲まれている。
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◎駐車場から見た富士山。埼玉から見る富士山の20倍くらいありそう。
大阪出身の I さんは、東京に出て来たときに富士山が見えるので毎日感動していたとか。
そうか、富士山を見ることができない地方って、あるんですよね。東京や埼玉でも、まだ富士山は身近なものでした。
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◎富士山の反対側には八ヶ岳が。(走る車から撮ったのでピンボケですが)
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慌ただしく、行って弾いて帰るだけ、観光らしきものもできなかったが、ちょっと遠出をして演奏するのも楽しいものです。
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by pataponm | 2013-11-19 14:07 | 音楽  

オーケストラとの共演

S邸で定期的に催されているサロンコンサートで、先月「ビオラの会」で演奏した「ブルッフ作曲 クラリネットとヴィオラのための協奏曲 Op.88」を、オーケストラと共演する機会を得た。

オーケストラと一緒に弾くのは生まれて初めて。クラリネットとビオラという中音域の楽器の協奏曲なのに、金・木管楽器が勢揃いするフルオーケストラを目の前にしてたじろぐ。
聴衆のいないサロンコンサートだが、数人の友人たちが聴きに来てくれた。友人の一人は「来るなら弾けよ」と強要?されて、オーケストラに加わってヴァイオリンを弾いてくれた。

演奏終わって、音楽仲間たちの関心は「夫婦でけんかもしないで練習して本番まで持ってくるなんて、どうやったらできるのか」ということに終始したようだった。

◎ソロの音がオーケストラに負けないように必死に弾く。でも・・・、負けた気がする。
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(Mちゃん、写真ありがとう。お借りしました。)

◎夫が1楽章のみ、録音をyou tube に上げてくれた。
ただし、演奏は、オーケストラと共演したときのものではなく、ビオラの会でピアノのKさんと一緒に弾いたときのもの。しかも、本番の録音ではなく直前の練習のもの。本番の緊張がなくリラックスしているからというのがアップした夫の言い分だが、ふつうの部屋で録音したものなので音は悪い。大ホールの残響処理ができればいいのに~。

ブルッフ作曲 クラリネットとヴィオラのための協奏曲 Op.88
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by pataponm | 2013-07-21 14:13 | 音楽  

第16回 ビオラの会

ビオラの会も今年で16回目を迎えた。会場は去年と同じミューザ川崎。
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ビオラの会の幹事で、第1回から毎年演奏を続けてきたNさんが先月亡くなった。
昨年のビオラの会のときに「体調がよくないので幹事は引退したい」とのことで新しい人に交代したばかりだった。
今年のビオラの会は「演奏はできないけど、聞きに行きます」と言っていたそうだ。それなのに急に容態が悪化して帰らぬ人となってしまった。
昨年演奏した曲が、ヒンデミットの「葬送音楽」。何か思うところがあったのだろうか・・・。
コンサート開始前に全員でNさんに黙とうを捧げた。

今年演奏したのは、ブルッフ作曲 クラリネットとヴィオラのための協奏曲 Op.88     
プログラムに書いたコメントより
「私がビオラで、夫がクラリネット、娘がピアノを弾くので、この編成の曲は編曲ものも含めてずいぶんいろいろと弾いてきました。でもまだ何曲かやり残した曲があります。その中の1曲がこの「クラリネットとヴィオラのための協奏曲」でした。

この曲はブルッフ73歳の1911年に、クラリネット奏者の息子マックス・フェリックスのために書かれました。
ロマンチックで情感に満ちたメロディは、クラリネットやビオラの中音域の魅力を引き出してくれます。

いつかは演奏してみたいと憧れていた曲を、ピアノの K さんに加わっていただいて実現することができました。弦のピチカートや刻みなど、本来オーケストラで弾くところをピアノで表現するのはご苦労も多かったと思います。
今日は、それぞれの苦労は忘れて、のびのびと歌い上げることができれば、と思います。」

◎私の初出場は2000年の第3回。それから14回連続出場になる。ビオラの会に出ると決まってついに決心して買った楽器は、今も愛用している。豊島継男さん制作。買った当時新作だったので、楽器の年齢と私がビオラの会に出た回数は、同じ「14」です。この先どこまで伸びるかな~。
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by pataponm | 2013-06-22 20:16 | 音楽  

成田達輝&テオ・フシュヌレ デュオ・コンサート

若い演奏家のコンサートをトッパンホールに聴きに行った。
成田達輝vn とテオ・フシュヌレpf のデュオ・コンサート。 二人は1992年と1994年生まれだから、まだ誕生日を迎えていなければ20歳と18歳という若さだ。

b0134988_173542100.jpg曲目は
ベートーベン バイオリンソナタ第8番 ト長調 op.30-3
フォーレ バイオリンソナタ第2番 ホ短調 op.108
シマノフスキ 「神話」 op.30より<アントゥーサの泉>
フランク バイオリンソナタ イ長調



清々しい若さ溢れる演奏はとても好感が持てた。
高校卒業後にフランスに拠点を移して勉学と演奏活動に励む成田さんの弾き方はフランス的、というのだろうか。音の始まりにも終わりにも力こぶが入らない。かといって中膨らみではなく、澄んだ美しい音が素直にすーーっと出て来る。それがフォーレやフランクの清流のような曲想に合っていた。ベートーベンは、もっと力みの入った濃い部分があってもいいんじゃないか・・・とも思ったが、そんなベートーベンを聴き慣れた耳にそう聴こえるだけで、ああいうスタイルもありなのかもしれない。

アンコールがサン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」だったのにはびっくり。長さ的にはシマノフスキが3分くらいの曲だったから、こっちをアンコールにしてもいいくらいと思ったが、それなりの目論見があったのでしょう。
コーダに入る直前のピアノの導入音のテンポが違ったのか、一瞬つまづいたように間が空いたが、素早く目で合図し合って超高速スピッカートで弾き切った。アンコール曲は少し合わせが不充分なのかな。
それにしても、二人とも度肝を抜くほどの超絶技巧の持ち主です。

◎終演後、CDを買ったお客さんにサインをする成田さんとフシュヌレさん。二人ともイケメンですね。
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◎帰り、江戸川駅のホームでこんな表示を見た。
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「走行中の電車内で火災が発生した場合は最寄りの駅まで行って乗客を降ろす。トンネル内の場合は速やかに先頭の車両より下車し、係員の指示に従って避難してください。各駅には緊急避難時のシステムが完備しているのでご安心を」というようなことが、英語と中国語と韓国語で書かれている。
でも・・・、日本語がない!?
日本人のみなさん、このような緊急避難時のマニュアル、知ってました?
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by pataponm | 2013-05-10 11:36 | 音楽  

天空庭園も花盛り

◎S邸の室内楽サロン。天空庭園も今が花盛り。
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◎ティータイムの時間になると、乙女ちゃんが私を見てベランダへ誘う様子をみせたので後について出る。
少し距離をおいて写真を撮ろうとすると乙女ちゃんは「とっとこ」と私の方へ寄って来る。また離れるととっとこ。
自然なスナップが撮りたいのに~。
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◎それからゴロンしてお腹を見せた。「お腹なでなでしてよろしい」の合図。私にはなかなかお腹を見せてくれなかった乙女ちゃん。とっとこ逃げて行くことはあってもとっとこ寄って来てくれることはなかった乙女ちゃん。
ずいぶん私に気を許してくれるようになりました。感動。
もちろん、ベストショット撮影は諦めてお腹なでなでしてあげましたよ。
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◎キッチンでは今日のおやつの用意が始まっていた。チェロのAさんが今日も美味しそうなケーキを焼いて来てくれたので人数分に切っていたら(Aさんは、カットはいつも何故か私をご指名)、Aさんが「今日はMさん(私)のためにこういうものを持って来たんです」と、ケーキの上に「おたんじょうび おめでとう」のチョコレートのプレートを置いた。私の誕生日を覚えていてくれたのです。切り分けてしまったけれど「カメラ、カメラ」と写真を撮った。
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◎天空庭園のヒロイン、ウエスタランドは切り花にして玄関に活けてありました。
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◎夜はM邸へ移動。昨年のオペラ公演「セビリアの理髪師」のDVD観賞会。
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◎Aさんは、こちら用にも、私が大好きなエンガディーナの簡易版のお菓子を作って持って来てくれた。
おみやげにはリンツのリンドールチョコ。Aさんはどうしてここまで私の好物を把握しているのでしょうか。
Aさん、感激です。ありがとう!
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by pataponm | 2013-05-04 15:21 | 音楽  

サロンコンサート

新宿御苑近くのマエストローラ音楽院サロンで「サロンコンサート」が開かれ、ピアノのKさんと、マラン・マレ作曲 「ヴィオール曲集」より組曲 二短調 を演奏する。
昨年の「ビオラの会」で弾いた曲だが、時間制限で弾けなかったものも入れて今回は全曲演奏した。

◎とてもいい雰囲気のサロン。しかし弦楽器にとってあまりいい音響とはいえず、ノンビブラートにこだわったら固い音色になってしまった(会場の響きのせいにしてはイケマセン・・・)。
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他の参加者の演奏曲目は
テレマン作曲 ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ
ハイドン作曲 チェロ協奏曲 第1番 など
意図したわけではないのだろうが、古い時代の曲が集まり、まとまりのいい落ち着いたプログラムの演奏会になった。

◎Yさんがお花を持って聴きに来てくれました。コンサートでお花をいただけるってすごく嬉しいものです。Yさん、ありがとう!
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by pataponm | 2013-04-14 15:53 | 音楽  

キャンドルサービス

今年もがんセンターでのキャンドルサービスのボランティアの時期が巡って来た。

◎サンタ担当のお医者様に急患が入り、なんと病院長先生が代理でいらした。看護師さんたちは大喜び。なにより喜んだのは、院長先生手ずからクリスマスカードを渡された患者さんたち。きっと病気もよくなるね。
サンタさんはリズムに合わせて鈴を鳴らし、最後に「メリークリスマス!」と声を出す。
院長サンタはリズム感抜群、発音もよくて本当にフィンランドから来たサンタさんかと思ってしまうほどだった。
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今年は一般病棟の他に、無菌室も回った。ここへは持って来たキーボードは入れない。室内にある専用のキーボードを弾くことになる。そして靴を履きかえ、手を消毒して入室する。数年前に担当したときは頭にビニールのキャップを被ったが、今回はなかった。もっと前に担当した人は、ヴァイオリンも消毒するように言われて慌てたと話していた(免除されたそうだが)。
無菌室というのは、積極的に治療を行っている病棟、雰囲気は明るい。看護師さんや他の患者さんと冗談を言い合っている人もいる。
それでも、高齢の方が多い患者さんの中に松葉杖をついている若い女の子の姿などを見ると、はっと胸をつかれる。

今年もまた、看護師さんたちのコーラスは患者さんたちの心を慰めたようだ。
男性の看護師さんが増えてハーモニーに奥行きができて素敵なコーラスだった。そしてまた、男性看護師が増える一方、お医者様が担当するサンタさんに可愛らしい女医サンタさんが増えて来たのもここ数年の特徴だ。
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by pataponm | 2012-12-20 12:23 | 音楽  

クリスチャン・ツィメルマン リサイタル

b0134988_17205684.jpg娘と二人でクリスチャン・ツィメルマンのリサイタルを聴きに行った。
最初は娘が一人で行くつもりで「仕事で急に行けなくなった場合」の「保険」として私が行く約束をしていたのだが、「せっかくだから一緒に行こうよ」ということになり、任せたら「せっかくだからS席」ということになった。

幸い当日は「何事もなく」仕事から解放された娘とホールで落ち合う。川口のリリアホールは、池袋から20分で行けるところにあるのにサントリーホールの同じコンサートと比べるとS席は半額だ。多分、都心からも聴衆が集まって来ているのだろう、ロビーに入場するだけで長蛇の列を作らねばならないほどの満席だった。


◎開演時間を過ぎても「リハーサルが長引いている」とのことで中に入れてもらえなかった。「この扉の向こうで今ツィメルマンが弾いてるのねぇ。聴かせてくれればいいのにねぇ」などと話しながら、結局30分ほどロビーで待たされた。「常に納得のいくまで入念に準備をする」というツィメルマンらしい。
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プログラム
ドビュッシー:版画
 1.パゴダ 2.グラナダの夕べ 3.雨の庭
ドビュッシー:前奏曲集 第1集 より
 2.帆 12.吟遊詩人 6.雪の上の足跡 8.亜麻色の髪の乙女
 10.沈める寺  7.西風の見たもの
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シマノフスキ:3 つの前奏曲(「9つの前奏曲 作品1」より)
ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 作品58

ツィメルマンが弾くドビュッシーの前奏曲集をCDで聴いたときに、私はそれまでのドビュッシーのイメージを覆された気がした。ドビュッシーのピアノ曲は、春霞のような、かげろうが立ち上るかのようなムードで演奏するもの、という先入観があった。実際「ドビュッシーはこう弾く」という伝統のようなスタイルで弾く人が多いように思う。
ツィメルマンのドビュッシーは、1音1音がむしろ硬質な音で立ち上がってくるような弾き方で、今まで輪郭のない絵のようだったドビュッシーの曲をくっきりとした骨組みのある、まで別の曲であるかのような形で見せてくれた。
この日のドビュッシーもそのような奏法で、特に「版画」は暗く重厚な表現で、情景が眼の前に現われて来るような演奏だった。

最初、プログラムは、生誕150周年ということでオール・ドビュッシーという予告だったが、直前に演奏者の希望で、上記のプログラムに変更してきた。
私はショパンのピアノソナタが聴けると分かって、飛び上がって歓声をあげたくなるくらい嬉しかった。
何故なら、ツィメルマンはショパンコンクールの優勝者、なおかつショパンと同郷のポーランド人でありながら、ショパンのピアノ・ソナタ第2番、第3番のCDを出していないのだ。
実はこの2曲はこれまで何度も録音をしてきたのだが、いまだに満足できず、CD発売にまで至っていないのだという。

素晴らしいショパンだった。たおやかで女々しいショパンではなく、完璧に感情をコントロールした、意志の強さを感じるショパンだった。光と影、緩急、強さと優しさ、指先ひとつから紡ぎ出されているとは信じられないほどの色彩感、しかも曲全体が壮大なドラマを見ているかのように構築されている。
激情に身を任せず情に流されないのに、ドラマチックで抒情的。
ショパンの協奏曲を演奏するとき、ツィメルマンは「ショパンはオーケストレーションが弱いと言われているが、けしてそんなことはない」と言ったそうだが、ツィメルマンが弾くソナタはシンフォニックな響きが感じられ、その言葉が理解できるような気がした。

演奏が終わって万雷の拍手。スタンディング・オベーションがしたい。後ろを見たが誰も立たないので迷っていたが、一人立ったので娘と一緒に立ちあがった。その後次々と立って拍手をする人がいた。ツィメルマンは何度もステージに呼び戻され、胸に手を当てて感謝の気持ちを表す。
でも、アンコールは・・・、やっぱりしてくれませんでした。

ツィメルマンは、私と娘にとって「ピアノ界の絶対王者」なのです。
10年以上も前にFMから流れてきたピアノの音に家事の手を止めて聴き入ったのが最初だった。
なんでもない、誰もが弾くピアノ曲の小品「子犬のワルツ」。きらきらと輝くような粒立ちと気持ちのいい疾走感、最後に「お決まりの」なだれを打つような終わり方をするのかと思いきや、1小節前に一瞬の間が入って鮮やかな着地! 演奏の後のアナウンスに耳を傾けてツィメルマンの名前を知った。
次が、やはり何気なく聴いていたFMから流れてきたショパンの「バラード」。心をわしづかみにされる、というのは月並みな表現だが、正にそんな状態だった。これを弾いているのもツィメルマンだと知って、即日CDを買いに走った。
それから、発売されていたほとんどのCD(といっても、滅多に録音を残さない人なので枚数は少ない)を買い集め、娘に「ツィメルマンていいよー」と勧めたら娘もまた引き込まれた。

日本ではツィメルマンはいろいろに呼ばれ、NHKでは「ジマーマン」、グラモフォンは「ツィマーマン」、音楽雑誌ではツィメルマン、そのほかジメルマン、チメルマン、ツィンマーマンなど、いったい何人いるの?と思うほど様々な言い方をされている。
「ジマーマンなんてだらけた言い方は許せない、あのかっこよさには絶対、ツィメルマンよ!」
と娘と二人息まくような浮わついたところもある「ツィメルマン 私設ファンクラブ会員」の私たちなのでした。
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by pataponm | 2012-11-27 11:44 | 音楽  

スポーツ宣言都市のクラシックコンサート

b0134988_12363134.jpg市内在住の若手ヴァイオリニスト長尾春花さんのコンサートを聴いた。
長尾さんは東京芸大大学院在学中。2008年にロン・ティボー国際音楽コンクール第5位他、数々のコンクールに入賞している。
ポスターには、曲目「愛の挨拶、チゴイネルワイゼン他」となっていたので、ポピュラーナンバーばかりかと思っていたら、第一部でベートーベンのソナタ第8番、ブラームスのソナタ「雨の歌」の2曲が入っていて「お得」感たっぷり。確かな技術と素敵な音楽性を持ち、ショーマンシップもある方で、とても楽しめる演奏会だった。


でも、でも・・・、会場が・・・。
会場は何年か前まで「福祉会館」と呼ばれ、今は「文化センター」と名を変えた、公民館も兼ねた建物。講演会や市民講座などに使われる小ホールは一応反響板のようなものはあったがクラシック音楽のための音響は考えられていないらしく残響はゼロ、ヴァイオリンの音が細く乾いて聞こえた。

隣りの市には「響の森」という音楽専用ホールがあり、クラシックコンサートが開催されているし、少し離れたK市には、「文化創造館」というこれまた素晴らしい音楽ホールがありN 響のコンサートなども開かれるというのに・・・。

A市はこのように、こと音楽に関しては無理解といっていいくらいだが、昔国体の開催地となって選手宿舎や競技場が建設された関係か「スポーツ宣言都市」をうたっている。プロ野球二軍の試合や高校野球の地区予選が行われる野球場がわが家のすぐ近くにあったり、県内外から人が集まる水上公園などもある。
今年は、毎年開催される市民マラソンの優勝者がニューヨークマラソンに招待されるということで、このコンサートにもニューヨークから来た関係者が何人か招待されていた。

「音楽に無理解」は、会場だけではないようだ。
コンサートの開始に先立って、まず「市長よりご挨拶」。
「この素晴らしい秋に、素晴らしいクラシック音楽の・・・、素晴らしい演奏者の・・・」と5分ほどの間に「素晴らしい」を20回ほど入れて最後に「素晴らしく愛らしい、美しい方です」と長尾さんを紹介。
それから「それでは、盛大な拍手でお迎えください!」と会場アナウンスが入ったものだから、幕も開かないうちに「わーー」と「盛大な拍手」が沸き起こった。
するすると幕が開くと、無人のステージにはピアノがぽつんと1台。なんか、クラシックコンサートののりじゃないよね。ピアノは、中学校の体育館にあるようなセミコンだったし。
休憩のあと、第二部の前には「それでは、再開いたします!」のアナウンスが。
サッカーの後半戦か。

長尾さんは、芸大付属高校進学の際にA市に転居して来たため子どものころからの友人等はいないそうだが、A市に親愛と感謝の気持ちを持っていて、語りを交えながら心をこめて演奏した。終演後はロビーで聴衆の人たちに挨拶をしていた。

A市は一昨年、長尾さんに市民栄誉賞を授与した。
来月、長尾さんはA市の1日警察署長になって、警察官の制服姿で警察音楽隊と市役所前で演奏をするそうだ。
んーー、市長さん、新進演奏家を、そんな風に使っちゃっていいんですかぁ~。
それより、長尾さんはじめ市内の演奏家のためにもA市にも音楽専用ホールを、じゃないんですかぁ~。
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by pataponm | 2012-11-17 12:36 | 音楽