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三菱商事コーラス同好会 concert 2008

三菱商事コーラス同好会のコンサートに、シンフォニア・リリカ(管弦楽)の第二ビオラ奏者として参加した(この曲はバイオリンが1パートのみで、ビオラが2パート、中音域に比重の重い編成)。指揮は依田浩、ソプラノ・杉田博子、バリトン・山下浩司。
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◎会場のティアラこうとう大ホール。リハーサルが終わって、ビオラの自分の席から客席を写す。天井の照明が美しい。開いてある楽譜のページは、ビオラが最もやっかいな3曲目の「サンクトゥス」。16分音符の分散和音が41小節も続くが、臨時記号がいっぱい、色彩豊かに和声が変わって行く。音符一つ間違えれば、教会に響き渡るような崇高なハーモニーに一点のシミができてしまうのだ・・・(汗)。

コーラスがアカペラでシュミット、プーランクの曲を演奏したあと、第二部に管弦楽が入ってフォーレのレクイエムというプログラム。
フォーレのレクイエムは、昨年秋にアメリカを旅行したとき、何気なく立ち寄ったボストンの教会で演奏していたのを聴いて大感激した曲だ。いつか私も弾いてみたいと思っていたのが、偶然この話があり、こんなにも早く夢が叶った。
三菱商事コーラス同好会は、コンクール入賞やN響との共演など実績のあるとても上手な合唱団だ。2曲目最後の「アーメン」のハーモニーは天上から降りて来るような美しさで心に沁みた。
ソリストのお二人の声も素晴らしく、歌と一緒に演奏する喜びを味わわせていただいた。

昨日のビオラの会から二日連続の本番、お腹がしくしく痛む夏風邪?が長引いていて少しきつかったが、何とか乗り切った。
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by pataponm | 2008-06-29 16:19 | 音楽  

ビオラの会

アマチュア演奏家団体主催による「ビオラの会」に参加し、夫婦でデュオを演奏した。曲はベートーベン作曲「クラリネットとファゴットのための3つのデュオ」より第1番。
学生用の練習曲のような曲で、コンサートで演奏されることも滅多にないのだが、おどけたリズムやロマンチックなメロディなど変化に富んでいて表情豊かないい曲だ。さすがベートーベン。
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◎会場の小山台会館ホール。外光を取り入れた洒落たデザインで、響きがとてもいい。エアコンの送風がステージに吹いてきて楽譜が飛んでしまうので、やむを得ずエアコンを停止したが、そのおかげで皆さんの演奏を雑音なしでしみじみと聴くことができた。

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◎原曲はクラリネットとファゴットのための曲だが、夫がファゴット譜をビオラ譜に書き換えてくれた。誰も知る人はいないだろうと安心していたら、「バイオリンとチェロの楽譜を持っている」とか「ビオラとチェロで弾いたことがある」という人が何人もいて驚いた。アマチュア演奏家たちの知識は深い。

今回で11回目のビオラの会、私は3回目から皆勤で今回9回目の参加になる。毎年1曲、ビオラのソロ曲をさらって人前で弾くという経験を積んで来て、少しずつではあるが、技術が向上して来たように感じる。
もう一つの収穫は、レパートリーの少ないビオラのための独奏曲をいろいろと知ることができるということだ。ビオラソナタといえば、ブラームスやシューベルト、ヒンデミットくらいしか知らない私だったが、フンメル、グリンカ、ビュータン、ミヨーなど、実にさまざまな作曲家たちがビオラのためにソナタを書いていることを知ることができた。2つのビオラのためのデュオも、シュターミッツ、フリーデマン・バッハ、ルクレールなどたくさんある。「変わった編成のビオラ入りアンサンブル」を見つけて来ては毎年演奏する常連のFさんは、今までに「2つのオブリガート眼鏡つきの二重奏曲」という変わったタイトルのビオラとチェロの二重奏曲や、コントラバス、フルートなどとの二重奏曲を演奏して楽しませてくれた。今回は、カーンという聞いたことのない作曲家が作ったオーボエ、ビオラ、ピアノのトリオを演奏した。
「レパートリーが少ない」と思っていたビオラも、実はこんなにたくさんの曲があって、自分のレパートリーに取り入れるには、一生かかっても出来ないくらいだったのだ。やっぱり、アマチュア演奏家たちの知識は底知れず深い。
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by pataponm | 2008-06-28 11:29 | 音楽  

アメリカン・カントリー・ケーキ

M先生に習ったアメリカン・カントリー・ケーキをいくつかご紹介。アメリカでケーキと言えばバターケーキのような焼き菓子が中心で、生地を泡立ててスポンジ状に焼いてデコレーションするというヨーロッパタイプのケーキは少ないそうだ。
たとえば、「ショートケーキ」というと私たちはふわふわのスポンジ生地に苺と生クリームを飾ったケーキを連想するが、アメリカでは全く違う。ビスケット(日本でいうビスケットより、柔らかく厚みがある、イギリスのスコーンのようなもの)の間に苺と生クリームをはさんだものをいうのだ。それからパイ生地も、バターを練り込んでは幾層にもたたんで伸ばすフランス風ではなく、粉にショートニングを混ぜ込み、水をたらしながら一気に練り上げてしまう。
計量も実に簡単。アメリカの家庭には、日本のしゃもじと同じくらい普通に計量カップが常備されているそうだ。日本のは1cup200mlだが、これは250mlで、1cup、1/2cup、1/3cup、1/4cupの4種類のカップがセットされている。
M先生は、「計りは使わない、粉はふるわない」をモットー?に、カップで粉や砂糖を豪快にすくってはボールに入れて豪快にかき混ぜて生地を作っていた。オーブンに入れるまで20~30分もあればOK。これなら気楽に作れそう!と思わせてくれる。

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◎レシピは毎回こんな感じ(写真はレッスンのとき私が撮ってあとで貼った。焼き上がったあとにコーヒーを入れてみんなで食べるティータイムが楽しみだった!)。これは Virginia-Style Apple Cake。 りんごが2個も入っている。ブラウンシュガーとバターとミルクで作るソースが好きで、今でもよく作る。

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◎Meringue Shells。 メレンゲを貝のような形にしぼり出して焼き、アイスクリームをこってり乗せ、その上に缶詰のピーチをそのまま乗せ、その上にチョコレートソースをたっぷりとかける。メレンゲの中にもお砂糖がたっぷり。とにかくあまい。M先生は、「ケーキの中に使ってるんだから、添える必要はないのよね。でもやめられないのよね」と言いながら、焼きあがったケーキに生クリーム、アイスクリーム、マーガリンなどをたっぷり添えて食べていた。

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◎Thumbprint Cookies。 こちらは色。クッキー生地の真ん中に親指でへこみを作って焼き、食用色素を混ぜたアイシングで飾る。ニューヨークに住むTちゃんが「こっちのケーキって、青いクリームが乗ってたりするのよ」と言っていたが、ピンクやブルーのクリームを使った。食欲をそそる・・・のだろうか?

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◎Cinnamon Nut Rolls。 ときどきイーストを使わないソーダブレッドなども作ったが、イーストを使うパンも一度だけ作った。とてもおいしかった。一時トラックでメロンパンを売り歩くパン屋さんがはやったが、シナモンロールも受けたのではないかと思う。

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◎焼き上がった Banana Bread を見せているM先生。手前は末っ子のKくん。菜箸を片手に、なんとシンクの中で踊っている。服を着ているのは珍しく、家の中ではフルヌードでいるのが普通だった。彼も来年は中学生だそうだ。

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◎Snow Balls 。生地に粉砂糖を使って低温で焼くと、真っ白な、舌でとろけるようなスノーボールクッキーができる。これは日本のケーキ屋さんの焼き菓子コーナーなどでもよく見る。幼稚園のバザーなどに出品すれば大人気で即完売だ。
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by pataponm | 2008-06-25 15:44 | 料理  

Early Bird English

息子が通っていた幼稚園に、アメリカ人のお母さんがいた。その方が自宅で英語を教えているというので習い始めて以来、息子が大学受験という現在まで、なんと13年も通い続けている。
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Early Bird Englishの教室風景

初めは料理教室だった。「B君のお母さんが、アメリカのカントリーケーキを教えている」と聞き、外国の食べ物大好き、の私はすぐに飛びついた。英文のレシピで英語の説明を聞きながらカントリーケーキを焼く、という楽しい教室だった。2年以上通ってレシピも100種くらいになったころ、私が「来週休みます」と言うと、先生が「じゃあ、人気ナンバーワンのあのレシピができるわ!」と嬉しそうに言うようになった。つまり私がしぶとく辞めないので、律儀な先生は私のレシピがダブらないように次々と新しいレシピを探さなくてはならなかったのだ。
なんだか気の毒になって、普通の英語クラスに移り、それからまた10年たってしまった!その後、料理教室は準備が大変だからということでなくなり、語学クラスだけになった。庭先に教室専用の部屋を建て増しして子供のクラスや大人のクラス、どんどん生徒も増えて発展し続けている。その中で、私は(進歩の全然ない)最古参の生徒ということになるだろう。
通い始めたころは、先生の子供たちも小さくて一番下のK君はまだ赤ちゃんだった。生徒は公募せず、幼稚園で知り合った顔見知りのお母さんかその友人くらいに限定して、お宅のリビングで勉強していた。先生はK君がぐずるとおっぱいをあげ、生徒たちも子連れでやって来て部屋の隅で遊ばせる。主婦同士の会話もはずみ、賑やかな本当に楽しいクラスだった。
教室を建て増ししてからは、インターネットなどでも生徒を公募するようになったが、「子連れ可」は今でも続いている。
私が今入っている木曜クラスは、私以外の生徒は全員英語教室の先生という、ついて行くのもあっぷあっぷのレベルなのだが、もう10年近く一緒にやって来た人たちばかりで家族のように馴染んでしまっているのでやめられない。いつもお母さんと一緒に来る3歳のMちゃんのことは、お母さんのお腹が少しずつ大きくなって行くときから見ていたし、生後一ヶ月でバスケットに入って復帰してからは毎週成長していく姿も見て来た。
「卒業」というものがないEarly Bird English のクラス、このままおばーさんになるまで続けて行くのだろうか・・・。
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by pataponm | 2008-06-24 11:56 | 英語  

実家の古~いもの

実家には、何十年も使い続けて未だに現役の古~いものがいくつかある。
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◎もの心ついたときには既に父のアトリエにあったキャビネット。引き出しの右にある四角い開かない板は何なんだろう、あれをはがすと何が出てくるのかな?といつも不思議に思っていた3歳くらいの私を思い出す。今でも工具や文具、油などが入っていて、「○○ある?」と聞くと「ああ、キャビネットの引き出しに入ってるよ」とふつうに答える。父が画業を始めたころからあるのだろう。推定年齢65歳くらい?
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◎父愛用のバリカン。父は床屋に行ったことがなく、いつも自分で散髪をしている。散髪が済むと新聞紙を広げて分解し、小さなブラシで丹念に毛を払って、最後に丁寧に油を塗って箱にしまう。散髪よりも長い時間をかけてやっている。兄が小学生のころは、庭先に椅子を出してこのバリカンで散髪していた。55歳くらい。
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◎子供の社会科資料集を見ていたとき、「昭和30年ころから、日本の家庭にも炊飯器、洗濯機などが普及するようになった」という記事があり、この炊飯器の写真があったのでびっくりした。母が生きていた数年前まで、たくさんの来客があるときは納戸からこれを出して来て2つの炊飯器でご飯を炊いた。多分まだ使えるだろう。ときどきおこげが出来るのが子供のころ嬉しかった。50歳くらい。
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◎電子レンジ。昭和40年代を再現したテレビドラマに、このレンジが出てきた。私や兄が学生になり、家族の食事時間がまちまちになって、温めるだけの機能しかない電子レンジだったがおおいに活躍した。メニューダイアルは、「シュウマイ、ご飯」などの文字が紙に印刷してあるだけ、時間を合わせるための目安にすぎない。現在の父の一人暮らしの食事には解凍、温め直しなど、大活躍のようだ。35歳。
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◎昔、我が家にはクーラーはもちろん、扇風機もなく、うちわで暑さをしのいでいた。当時使っていたうちわがいくつも残っている。これは、有名な切り絵作家(父は名前を思い出せなかったが、美術館にも作品が所蔵されている作家だそうだ)の図柄を使ったうちわで、一本の太い竹の先を何十本にも裂いて骨を作り紙を貼って仕上げた工芸品だ。あおいでみると、しっかりした持ち手と丈夫な骨組がずっしりしていて、力強く風が来る。これは30歳くらいかな?

驚くのは、電化製品が50年以上も現役で使われていることだ。今は5年使って故障すれば寿命と言われて買い替えを勧められる。複雑な機能が何もついていないシンプルな構造というのもあるだろうが、昔の誠実な職人気質のようなものも感じる。

写真を撮り忘れたが、我が家の最古のものは多分、父の絵の具箱だろう。がっしりした木の箱に皮のベルトがついていて、中に絵の具、筆、パレットなどが入っている。空襲で家を焼かれたときに、父親の位牌と絵の具箱だけを持って逃げたという、そのときの絵の具箱だ。70歳以上か?やはり仕事のあと毎晩欠かしたことのない手入れのおかげで、木製のパレットは絵の具のこびりつきなどは一点もなく、黒光りしている。
もうひとつは、赤ちゃんのお尻につける天花粉。丸い紙の箱に入っていて粉をはたく綿も入っている。兄と私のお尻にはたいた天花粉、20数年後、初孫が生まれたときに兄嫁が実家でおむつをかえていたら「ほらほら、これを使いなさい」と当たり前のように出して来たのがこの天花粉だった。それからさらに20数年が経ち、天花粉はまだ実家にある。多分、初ひ孫が生まれたら、父はまた当たり前のように「ほらほら」と出して来るだろう。ふたを開けたら、江戸時代のお白粉の箱から発見されたという未確認生物「ケサランパサラン」が現われるのではないだろうか。
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by pataponm | 2008-06-22 17:53  

緊急事態?!

実家の父に「明日行くよ」と電話しようとしたらお話中で、その後1時間以上通話中だったので、なんとなく不安になり、夜遅かったがその日のうちに夫に車で実家に連れて行ってもらった。免許を持っていない自分が不甲斐ないと、こういうことがあると思う。
予想通り受話器が外れているだけで、胸が苦しくなった父が救急車を呼ぼうとしてそのまま倒れている・・・なんてことは幸いなかった。でも、心臓や脳は一刻も早い発見が生死の分かれ目になるというし、高齢の父が一人暮らしだと、こんな些細なことでも心配になる。
マロンが大騒ぎしたので寝ていた父が起きて来てびっくりしていた。「そうか?受話器が外れていた?全然気づかなかったなあ」
お茶一杯飲んで夫が帰ったあと私は一泊して、いつものように惣菜作ったりマロンの散歩をしたりした。
回顧展の作品は荷解きして木枠は(かついで梯子を登って)屋根裏にしまったり、全部一人でやったと言っていた。梅の木の枝払いもしたそうだ。全然元気なのだ。
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◎アトリエに帰って来た絵たち

マロンは相変わらず全身で喜びを表現してじっとしていることがない。5秒でいいから静止してくれればいいのに、写真すら撮れない。
普段は割と広い庭を駆け回っているので運動不足にはならないが、門の外への散歩は私が行ったときしかできないので、私がリードを持つと喜びの声が悲鳴になってしまう。
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◎普通にマロンを撮ろうとすると黄色い雲状のものしか写らない。5秒でいいからじっとして!
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◎父に魚肉ソーセージで注意を引き付けてもらってやっと撮影に成功。

いつも「期待」と「喜び」だけではちきれそうになっているマロン。たまに恐いことがあってもケロッと忘れる。失望することがあってもケロッと忘れる。血統書上の名前「バッター・オブ・パラダイス」は、マロンの性格を見越して付けられたとしか思えない。
「たのしいたのしいうれしいうれい」と言いながら歩いているみたいなマロンと一緒に散歩すると、こちらもつられてハッピーな気分になってくるのだ。
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◎父とマロン。ゴミ箱に何か捨てに行くと必ず「何?それなに?」と見に来る。「だめだよ。これは食べられる物じゃないんだよ」と、父はその都度言い聞かせている。

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◎実家のある谷。目の下の藪で美しくさえずっているキビタキを間近に見ることができた。これでも東京都だ。
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by pataponm | 2008-06-20 12:05  

リブラン創作童話 受賞作「ラ・ライオン!」

9年も前に賞をいただいたリブラン創作童話の、今年の表彰式の招待状が届いて驚いた。今年は20回の節目を迎えたということで、歴代の受賞者も招待して懇親会を開催したいということだった。
受賞作の「ラ・ライオン!」は、いくつかの創作童話を書いてきた私にとって、本にしてもらえた唯一の作品だ。
しばらくぶりに受賞作品集「こころの小箱」を見て、セキ・ウサコさんが、作品に書かれていること以上に内容に踏み込んで、イメージをふくらませて描いてくださったイラストの素晴らしさに改めて感動した。
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動物マンションにライオンがひっこしてきた。マンションの人たちは、みんなふるえあがった。でも、「ライオンすむべからず」なんていうきまりがないんだから、おい出すわけにもいかない。
             1号室(ねずみ)
 「ラ、ライオンが、こしてきたぞ! たいへんだ。ぼくなんか、いちばんチビだから、かんたんに食われちゃうよ。どうすりゃいいんだ。そうだ、おじいさんが書きのこしてくれた『ねずみが生きのこるための本』が、本だなにあったはずだ。あれを見てみよう。・・・・あった、あった。えーっと、ライオン、ライオン・・・
『ライオンからにげるには』これだ。なになに・・・
『ライオンから話しかけられたら立ちどまってていねんにへんじをすること。こわがってにげればライオンはそれをおいかけて食いたくなるものなのだ。ライオンと話をしているときは、前足からぜったいに目をはなしてはいけない。つめがのびてきて土をつかんだら、とびかかってくるというあいずだ。つめが少しでものぞいたら、にっこりわらったまま、そーっとひきさがって、それからできるだけすばやく、よこっとびににげる。下草の中に体をかくしながらにげるとよい』
 きつねさんが、『ライオンのおなかがへっているときに、へやの前を通らないようにすればいいのよ』って言ってたけど、ぼくなんか、食後のデザートにピッタリだから、おなかいっぱいのときにも通らないほうがいいな」
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           2号室(きつね)
 「ぼうや、よく聞いて。8号室におそろしいライオンがこしてきたの。ライオンは、普段はねてばかりいるなまけものだけど、おなかがへると、小さな動物の子どもなんか、ペロリと食べちゃうようなけだものなのよ。だからぼうや、ごはんどきにへやの前を通らないようにね。もし、ライオンが近づいてきたら、できるだけきちんと
『ライオンのおじさん、りっぱなたてがみをおもちですね。ぼく、そうけいしちゃいます』って言いなさい。でも、あまりおとなっぽい言いかたでライオンに『なまいきだ』と思わせないように気をつけてね。
 え? くまくんのところに遊びに行く? あの子、ばか力でらんぼうだけど、ぼうや、釣られていっしょにわるいことしないでちょうだいよ。ぼうやったらいつも、大きな子の言いなりになるんだから!」
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           3号室(くま)
 「あら、きつねくん、いらっしゃい。くまお、遊びに行くんなら、ライオンのへやのほうには行くんじゃないよ。もし、ライオンに会っても、からかっちゃだめだよ。あんたは力もちだけど、『すもうには負けない』くらいの力じゃ、とてもライオンにはかなわないんだからね。なんせ、むこうにはキバがあるんだから。力の強いものは、自分のつぎに力のあるものをきらうものなんだ。かあさんは、しゃけをおくってライオンにきらわれないような気をつかっているんだよ。それから、きつねくんは、ずるがしこい子だから気をつけな。上手い言葉に載せられて、一緒になってわるさをしちゃいけないよ」
                   4号室(だちょう)
 「くまさんて、ほんとにいやな人。ライオンにこっそりしゃけなんかおくってごきげんをとったんですって。あんなに大きくて力があるんだからあたしたちをライオンからまもるのが本当なのに、自分だけたすかればいいのね。あたしたちなんか、どうなってもいいんだわ。そうだわ。あたしは、たまごをコリラさんにプレゼントしよう。あの人、あたしがすきらしいから、たまごをあげればきっとまもってくれるわ」
b0134988_11541072.jpg           5号室(ゴリラ)
 「うー、こまった、こまった。まただちょうさんからたまごをもらってしまったぞ。たまごなんてきらいなのに。この前もらったときに、わるいからよろこんでみせたら、すきだと思われたみたいだなあ。それにしてもなんだ?あのヘンな目つきは。『かくさなくてもいいのよン』って、ありゃいったいどういうイミなんだ・・・。このたまご、ライオンに持っていってごきげんとりでもしておくか。それとも、大すきなうさぎさんの、びようパック用に、ってもっていくか」

                  6号室(うさぎ)
 「ライオンですって? わたくしはこわくないわ。このマンションの中で、いちばん肉がやわらかくておいしいのはわたくしよ。でも、いちばんかしこくてちえがあるのも、このわたくし。ゴリラさんなんて、すっかりわたくしをおとなしくてやさしいうさぎだと思いこんでるみたいだから、ライオンにもそう思わせるのはかんたんなことよ。わたくしが、貴方のことすきなのよってふりをしてみせれば、ライオンだってわるい気はしないはずよ。そして、いざとなったらこの耳と足。
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耳でだれよりもはやくきけんを感じて、足のバネをきかしていち早くにげるの。ライオンにいちばんさきに食われるのは、頭がいいと思いこんで子どもの自慢ばかりしているいたちさんだわ、ホホホ・・・」

        7号室(いたち)
 「うさぎさんて、あんなに子どもずきなのに、子どもがなくてお気のどく。うちの子のこと、それはかわいがってくれるわ。この前はじめてバッタをつかまえたときなんか、かしこい、ってそりゃあほめてくれたっけ。たしかにあの子は、わたしににててんさいてきにすばしこいわね。ライオンのたてがみの中でもへいきで遊んでるけど、わたしはあんしんして見ていられる。あの子なら、ライオンの鋭い詰めのあいだからでもするりとにげだせるわ」
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              8号室(ライオン)
 「このマンションの人たちは、ほんとうにいい人ばっかりだなあ。
1号室のねずみくん、おとなしそうであまり口をきかないけど、とても親切だ。2号室のきつね夫人。上品で、子ドモのしつけもよくいきとどていている。『ライオンさん、そんけいしてます』だってさ! フフフ・・・うれしいね。3号室のくまさんは、大きなしゃけをくれた。うまかったなあ。やさしくてせわずきな、心のあったかそうな人だ。4号室のミスだちょう。おしゃれで、なかなかすてきだ。5号室はゴリラくんか。おいしそうなたまごをわけてくれるとか言ってたまあ。ユーモアがありそうで、あんな人とともだちになれたらたのしいだろうなあ! 6号室はかわいらしいうさぎさん。あの人はてんしのようにやさしそうだ! 7号室のいたちさんのところのぼうや、あんなに人なつこい子は見たことがない。このぼくを少しもこわがらないで、たのしそうにたてがみの中で遊ぶんだ! ああ、ここにこしてきて本当によかった! ぼくは、ほんとうにしあわせ者だなあ!」
 

 
 
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by pataponm | 2008-06-17 12:17 | 創作童話  

360°ビジュアル犬種大図鑑

羊毛ドッグ作家のMちゃんから教えてもらって「360°ビジュアル犬種大図鑑」という本を買った。
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犬の図鑑は数多く出ていて、載っている写真は、草原を走っていたり室内で遊んでいたりまたはドッグショーでポーズをとっていたり、さまざまだ。しかし、犬の真後ろがどうなっているのか、真上から見たらどうなっているのかということが分かる本はなかった。そういう意味で、この本は造形作者にとってバイブルのようなものだ。
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◎全ての犬について、正面、背後、側面、頭上から撮った写真が添えられている。

これを見て、子供が小さいときに大好きだった絵本「まえむき よこむき うしろむき」(絵・文 いのうえようすけ)を思い出した。ねこ、かえる、時計、電車、いろいろなものの前向き横向き後ろ向きの絵が出てくる絵本だ。
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◎いのうえようすけ作「まえむき よこむき うしろむき」福音館書店

「ぞうさん まえむき はな ぶらぶら/ぞうさん よこむき おおきな おなか/ぞうさん うしろむき しっぽが ぷらり」などの文が添えられていて、読み聞かせると子供は大喜びだった。おんなじ卵の絵が三つあって「たまごの まえむき?たまごの よこむき? たまごの うしろむき?」というところでは何度読んでもげらげら笑ったし「おかあさん うしろむき だいすき うれしいな/おかあさん よこむき だいすき うれしいな/おかあさん まえむき だいすき うれしいな」というところでは足をばたばたさせて自分も嬉しそうにしていた。(おかあさんだけ、前向きからではなく後ろ向きから始まって最後のページで笑顔の前向きになるのがなかなか気がきいている)
「360°ビジュアル犬種大図鑑」の中に、この絵本の「たまご」みたいな犬がいた。ペキニーズだ。なんだこれ、苦労して形を作る必要なんてない、羊毛丸めて置いておけばいいじゃん、という感じ。
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◎ペキニーズのまえむき?よこむき?
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by pataponm | 2008-06-15 14:35 | 羊毛ドッグ・クラフト  

ずたぼろバッハ

雑司が谷音楽堂でピアノのKさんとバッハのバイオリンソナタ6番1~3楽章を演奏した。
全日本ピアノ指導者協会(略称PTNA)の主催するピティナ・ピアノステップのコンサートで6月8日の今回はバロックがテーマだった。子供から大人までいる参加者のほとんどがピアノソロで参加する中で、Kさんはアンサンブルで参加することが多い。これまでも、モーツアルトのピアノカルテット、ブラームスのビオラソナタなどでご一緒させていただいた。
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◎雑司が谷音楽堂の内部。ステージのないサロンタイプでキャパは小さいが響きが良く、落ち着いたいい雰囲気。

演奏の結果は・・・ずたぼろ!でした。特に1楽章は、今まで本番でここまで乱れたことがないというくらい指がもつれてしまった。何声もが複雑に絡み合って組み立てられているバッハは、一度落ちたら乗れないので、とにかく止まったら最後と思うあまり、指が動かないのに弓だけは動かしてあり得ない音を出すという、自分でも信じられないようなことをやってしまった。練習のときは「本番で乱れたときの対処法」なんか考えていないので、Kさんも何とか合わせようと焦る、それが裏目に出てまた微妙にズレる・・・
バロックに造詣が深いKさんが、せっかく満を持して挑んだバッハだったのに、本当に申し訳ないことをしてしまった。Kさん、ごめんなさい!
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◎ホール外観。演奏終わって子供たちや家族の方々が出て来たところ。

私が、本番で演奏する際に苦手とする条件がいくつかある。
①本番前のリハーサルが出来ない。 ②午前中の本番。 ③ステージのないサロン形式。 ④子供が聞いている。
言い訳ではないけれど、今回はこのすべての条件を満たしていた。早朝家を出て9時半に会場に着き、リハ抜きで10時すぎに本番、会場はフラットで、目の前に4歳から10歳くらいの子供たちが並んで無邪気な(つまらなそうな)顔で足をぶらぶらさせながら聞いている。
それに加えて、私の真後ろには3人の先生方が座っていて、演奏を聴きながら講評を書いていらっしゃる。
これらの肉体的精神的プレッシャーにも動じることなく、いつでも安定した演奏をすることが出来るのが、プロなんだろうなぁ、と落ち込みながらしみじみと思った。
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◎近くには東京カテドラル、椿山荘、東京音楽大学、学習院大学などがある目白界隈だが、雑司が谷音楽堂は路地をちょっと入った所にあり、そこにはこんな「めしや」があった。「塩むすび80円」というのが妙に心に沁みた。
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by pataponm | 2008-06-09 11:47 | 音楽  

100万語多読

友人に誘われて「100万語多読」を始めて1年ちょっとになる。英語の本をとにかく濫読しようという英語学習法だ。ゆきんこ多読ジャーナル というブログを開設しているゆきんこさんの指導の元、毎月わすがな会費で8冊まで洋書を借りて読むことができる。一人一人の興味や適性に合わせてゆきんこさんがいろいろと本を選んだりアドバイスをしてくださるので、自分に合ったものを無理なく読み進めることができる。
ゆきんこさん本人が大変な「タドキスト」で、なんと1700万語を越えたそうだ。私は1年やってまだ65万語、100万語にもまだ遠い。ゆきんこさんのレベルに達するのにあと何年かかるんだろう、と計算してみたら、今のままのペースだと26年かかるということが分かった。ふぇ~・・・

今借りている本の中で面白かったものを1冊。
Jacqueline Wilson 作 「THE CAT MUMMY」
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女の子が死んだ猫をミイラにしようとする話だ。テーマとしてはありがちな、大切にしていたものの死とそれを乗り越える心の成長、亡くなった母を思う気持ちを見つめ直し前を向いて歩んでいけるようになった少女の心の強さ・・・などを描いているのだが、その素材、語り口が、日本の児童のための文学では絶対にありえな~い、という話。

ヴェリティにとって、猫のメイベルは、亡くなった母のことを話せる唯一の相手だった。この猫が死んだとき、土中に埋めて虫に食われるままになることが耐えられず、ちょうど学校で習っていたエジプトのミイラをヒントに、猫をミイラにしようする。
風呂にあったラベンターのバスソルトを猫にまぶし、古いシーツでぐるぐる巻きにするが、死後硬直していて、エジプトの猫ミイラのように真っ直ぐな形にならない。仕方なく、丸まったまま猫をくるもうとするが、なかなか上手く行かない。(このあたり、不器用に死体をくるもうとするちょっとグロテスクな描写が、これでもかと5ページも続くのだ。)
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◎教科書に載っていたエジプトの猫ミイラ(左)のようにしたかったが、死後硬直しているので出来ず、丸まったままのメイベルをくるむヴェリティ。

メイベルをバッグに入れてクローゼットに隠しておいたが、腐って悪臭が漂い始め、とうとう家族に見つかってしまう。祖父は、虫が寄って来ないようにと自分の道具箱をメイベルの棺桶に作り直してヴェリティを納得させて埋葬、父はヴェリティに母のことを話して来なかったのを反省して母のメモリアルノートを作る。
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◎死体がだんだん腐ってきて匂い始めるあたりの描写もグロテスク。クローゼットの中の服全部に臭いが移ってしまったので、服を着なさいと叱られても着る服がない。おもちゃ箱から小さいころに着た妖精のコスチュームを引っ張り出して着て、おどけてみせてごまかしたりする。絵が可愛いのが救い?
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by pataponm | 2008-06-03 12:26 | 英語