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母の遺したもの 母の味②

5月 苺ジャム・シロップ 苺が出回ると、鍋いっぱい苺ジャムを作った。あまり煮詰めず、ペクチンを加えて粘りを出すこともせず、煮詰める途中で大量にできる液を取り分けて苺シロップとして使った。ジャムも、新鮮な苺の香りが生きていておいしかったが、私にとって母の味は、むしろ副産物のシロップの方かもしれない。
シロップは、ジュースやアイスキャンディー、ゼリーなどになって、この時期は、学校から帰って来て冷蔵庫を開けるのが楽しみだったものだ。

苺ゼリー 特別に項目を設けて苺ゼリーのことを書くのは、これがゼライスなどを使ってゼリー型で冷やし固めるゼリーではないからだ。上の項目に書いた冷蔵庫に入っていたゼリーはスプーンで食べる普通のゼリーで、母はそれもよく作ったが、それとは別に、有名菓子店などで売っているオブラートに包まれた固いゼリーも作った。
寒天と砂糖と水あめと果汁で作るらしいが、温度調節を間違えると全く固まらないそうだ。そのために温度計を買って、とことん凝る母らしく、何度も失敗しながら作っていた。最後には、人に手作りと言ってあげると驚かれるくらいの出来栄えになった。

6月 梅干 母の作る梅干はおいしい。毎年必ず樽いっぱいの梅干を作った。塩漬けにした梅干を赤紫蘇漬けにする前に3日間天日に干す。ござの上に干してある梅干をつまみ食いするのが好きだった。梅干は、カラカラに乾いていて中はしっとり、日向のにおいがして口に入れると太陽の熱を含んで温かかった。
母は、素材を吟味して最もおいしいものを手作りしていて、海苔や昆布も、一番ランクの上の特選のものしか使わなかった。そういうものを食べて育ったのに、私はお金を惜しんで最低ランクの海苔や味噌を買って平気で食べている。しかし、梅干だけは、スーパーで売っている色素や防腐剤添加のものは買えなくなってしまった。
梅ももちろん大粒の上等な梅を使っていたのだろう。昆布をふんだんに入れ、塩分も控え目だったのに、けしてカビさせることなく作っていた。

梅酒 果実酒は、いろいろと作った。ドクダミ、サクランボ、クワ、ショウガ、ミカン・・・得体の知れない物が沈んだ果実種が、まだ実家の戸棚に入っている。
それらの果実種は思いつきで作ったが、梅酒は毎年作った。10年ものの梅酒などもあった。
 
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◎娘が小学生のころもらった母製作の人形。帽子はフェルトを型どって作った。ラメ入りのサマーセーターは手編み、ネックレスはビーズをつないで作り、靴は皮で作った。靴下もはいている。手の指は、針金に綿を巻いてその上に布をかぶせてあるらしいが、どうやってあんなに細い指が作れたのか分からない。

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◎私は、この人形の顔が、母が作ったものの中で一番好きだ。粘土で作った顔に布をかぶせてあるらしい。目は油絵の具で描いたものか。まつ毛もちゃんと植え込んである。

by pataponm | 2008-12-19 11:20 | 母の遺したもの  

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