家はどうして建つか

ずいぶん前の話だが、夫の会社の隣にビルが建ったときのこと、連日続く工事の音を聞きながら社長がぼそっと
「しかし、『おーい』とか『へい』とか言うだけで、なんでビルが建つかなあ」と言ったそうだ。
確かにビルを建設する作業員たちは手を振ったり「おー」とか叫んだりするだけでクレーン車を屋上に運び、何階建てものビルを建ててしまう。考えてみればどうしてそんなことができるのか分からない。

今、裏のKさん宅では建て替え工事をしている。毎朝8時前から2、3人の大工さんがやって来て、夕方真っ暗になるまで働いている。彼らは「おーい」や「へい」すらも言わずに黙々と作業をしているのだ。それなのに土台ができ、棟上げをし、屋根ができてしまった。なんでだろう。
けして仲が悪いから黙っているわけではない。10時と3時のおやつ、12時の昼食時にはぴたりと工事の音が止まって、大工さんたちは休みをとって楽しそうに談笑し始める。しかし、ときどき大爆笑したり「うちのかあちゃんがよぉ」なんて言葉が聞こえてくることから考えると、今後の作業の進行計画や設計についての議論をしているようにはとても思えない。
それなのに、休憩時間終わって再び作業を開始すると、彼らは何ひとつ迷うことなくテキパキと仕事をこなしていくのだ。黙々と。
どうして、家が建つのだろうか。

◎作業の音が気になるタビィ。Kさん側の窓を開けてやると、「興味アリマス」の姿勢でじーっと見ている。最近の大工仕事は電化されているから、「とんとん」「ギコギコ」という音に加えて「スパン!(一発で釘を打ち込む音)」「ギュイーン!(電動のこぎりで木を切る音)」とかなりうるさい。そんな音がするたびにタビィはびくっ、どきっ、と首をすくめたり伸ばしたりして大工さんたちのすることを見ている。
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by pataponm | 2009-12-01 10:53  

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