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モラセス

棚を整理していたら、ずいぶん前に買ったモラセスの瓶が出て来た。モラセス(Molasses)というのは、砂糖を精製する時に発生する、糖分以外の成分も含んだ粘状で黒褐色の液体で、廃糖蜜(はいとうみつ)のことだ。
英会話教室のM先生にカントリーケーキを習っていたとき、モラセスを使ったケーキを作った。開拓時代から作られていたケーキらしく、空き缶にたねを入れて鍋で蒸すという昔ながらの作り方だった。
食べてみて思わず「なにこれ、蒸しパンじゃない」と言ってしまったほど、日本の黒蒸しパンの味そっくり。
モラセスはシロップ状で、なめてみると日本の黒蜜に似てはいるがやはり少し洋風の香りがして、みつ豆にはかけたくない感じ。でもお菓子にすると黒砂糖の味にとても近くなる。
M先生も、日本に来たばかりのころ、ホームシックになると蒸しパンを買って食べたそうだ。
アメリカのおばあちゃんの味が、日本のおばあちゃんの味と同じだった・・・。

家でも作ってみようと一瓶買って一回作ったきり、モラセスは戸棚に入ったままだった。
「赤毛のアン」の中にこんなエピソードがある。
人と話すのが苦手なマシューが買い物に行って「・・・砂糖をひとつ」と言うと若い女性の店員が愛想よく「白いのですか、黒いのですか」と聞く。マシューはうろたえて「そうさな、黒いのを・・・」と言ってしまう。家に持って帰ると、妹のマリラが「黒い砂糖なんて、何に使うんですか」と激怒する・・・。

「そうさな」という言葉は「海外の翻訳文学によく出てくるが日本人が使っているのを聞いたことがない言葉」ベスト10に入ると思う。
小学生だった私は「そうさな」に違和感を覚えると同時に、「アメリカにも黒砂糖があるんだ」ということが印象に残った。どんな味なんだろうとずっと思っていたが、モラセスで謎が解けた。

マリラに怒られないように、モラセスを使ったクッキーでも焼いてみようか。

◎アメリカ人なら誰もが懐かしがるというモラセスのびん。
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by pataponm | 2009-12-02 10:59 |  

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