人気ブログランキング | 話題のタグを見る

千羽鶴

夫が所属するオーケストラで指導してくださっていたコントラバス奏者のK先生が、病気で入院された。入院は長期に亘りそうな病状なので、オーケストラの皆で先生の快癒を祈願して千羽鶴を折りましょうというメールが回った。私も室内楽の指導などしていただいたこともあり、オーケストラの賛助出演もしたことがあるので、参加させていただくことにした。

◎一人20羽以上ということだったので、夫の分と合わせて50羽の鶴を折った。
ところが、皆さんあっという間に折ってしまったようで、翌週夫がオーケストラを休んだときに糸につなげてもう病院へ持って行ってしまったという。
千羽鶴_b0134988_17194137.jpg

行き場を失った鶴たちだが、先生の快癒を祈りながら折ったことには違いないので、しばらく手元に置いておこうと思う。

鶴を折りながら、昔さんざん鶴を折ったことを思い出した。
私は、9歳のときに病気で長期入院したことがある。そのとき、脊椎の病気で1年以上入院していた20歳のお姉さんと親しくなり、その人が毎日飲む粉薬の包み紙で鶴を折っていたのを真似して私も鶴を折り始めたのだ。
お姉さんは、10㎝四方ほどの薬の紙を4つに切ってとても小さな鶴を折っていた。私も指先でこまこまとすることが好きだったので、負けずに折った。病室の人が寄って来て、
「まあ、こんなに小さな折り鶴、見たことないわ。針を使わなきゃ折れないでしょ」と感心したのを覚えている。

小学校3年生の1月に退院したが、その学年が終わるまでの2ケ月間は学校へは行かず自宅療養だった。暇だった私は家で鶴を折り続け、だんだん「小さな鶴を折る」ということに夢中になっていった。そして、学校の図工などで使う普通の折り紙1枚から64羽の鶴が折れるようになった。折り紙を6回折りたたんでできる正方形から1羽を折る計算になる。紙の大きさは、だいたい1.5㎝四方ぐらいだろうか。

◎一番大きい鶴は、先生のために折った折り鶴だ。これは千羽鶴用の小さめの折り紙で一辺が7.5㎝。次に大きいのはその四分の一。その下は2㎝四方の紙で折り、その下は1.5㎝四方の紙で折った。昔さんざん折ったのはこの大きさ。一番小さいのは1㎝四方。
千羽鶴_b0134988_16181629.jpg

中学校卒業のときに友達にあげようと、数年ぶりに極小折り鶴に熱中、友達に配ったのは1.5㎝の紙で折ったものだったが、自分で限界に挑戦しようと少しずつ紙を小さくしていき、8ミリ四方の紙で折ることに成功した。それ以来何十年も鶴を折ったことはない。今折ったらどこまで折れるのだろうと思ってやってみたが、子供の指の細さが失われたのか、目が悪くなったのか、1㎝が限界だった。
それでも、1㎝四方の紙で折った鶴は仕上がりが3ミリほど、蚤より大きいが蚊より小さい。折っている最中は、指の中に隠れてしまい、部分的に心眼で折っているような気がする。

鶴を折っていると、雑念を忘れる。雑念が消えた透明な気持ちで鶴を折るという行為は、手を合わせて一心に祈る気持ちに通じるところがあり、病気快癒の祈りが本当に通じるような気がしてくる。
K先生の一日も早いご回復を心からお祈りしております。

by pataponm | 2010-03-13 17:19 | 羊毛ドッグ・クラフト  

<< 今日のタビィ <高所ジャンプ症> 梅の里 >>