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下のお名前様

美容院に予約を入れようと電話をしたら
「お名前様いただけますかー」と言われた。「Sです。」と言ったら
「下のお名前様いただけますかー」と言った。
何のことか分からず、一瞬考えて「S」は名字だからフルネームで言えということか、と理解できた。
それにしても、「下のお名前様」って・・・。
最近何にでも「様」を付けるようになって病院でも「患者様」と呼ぶようになったそうだ。「患者さん」でいいではないか、という投書が新聞に載っていた。
「お名前」に様をつけるのはもっとおかしい。「お名前様いただけますか」って、敬語のような形になっているが、日本語としては醜い。
「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」と、普通に言えばいいのに。

話し方も、若い女性は平坦な抑揚で句読点もなく「にゃんにゃん」喋るのでとても聞きとりにくい。
「下のお名前様」を聞かれたあと、
「らんかーどーなさいますかー」と言われたときにはお手上げだった。しかも、聞き返すと何回でも「らんかーどーなさいますかー」と、おんなじ調子で言い続けるのだ。
「らんかー、ですか?」「はい。」と、らちが明かない。
「らんかーって何ですか」と聞くと、それまで歌うように喋っていた女性が急にしどろもどろになった。マニュアルにない展開になったのでどうすればいいのか分からなくなったようだった。
どうやら、美容師にスタイリストからフロアディレクターまで3段階までの格があって、それぞれ基本料金に500円ずつ上乗せされていくらしい。
「ランクはどうなさいますか?」と聞いていたのだった。

聞きとりにくいイントネーションはともかく、「様」をくっつければ敬語っぽくなるだろう、的な「安易な敬語テク」が横行して、日本語をずたずたにしているような気がしてならない。

相手の名前を聞くときに、
「何様ですか」と聞いた若い人がいたそうだ。

◎我が家のささやかな庭にも春がきた。テッセンの花が咲く。
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◎隣にはエニシダも。
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by pataponm | 2010-05-12 09:59 | 言葉  

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