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黒教材?

教材出版社在職中は、一番多忙な時期で朝9時から夜11時まで仕事をしていた。女性は夜10時以降残業をしてはいけない時代で、「10時過ぎたら女性は窓際に行くな(会社は線路沿いにあり、電車から中の様子が見えたので、労働基準局の人が電車に乗っていたらバレてしまう、という心配)」と言われていた。
朝から深夜まで、「明るく楽しい漢字ドリル」の文例を考え続けていると、だんだんその人の潜在意識がにじみ出して来る。
ある人などは、頭が朦朧となったのか「仕事がいそがしい」「頭をなやませる」「胃がいたむ」「手伝いをさがす」「たすけを求める」
というような書き取り問題を作るようになり、課長から「疲れてるんじゃない」と言われていた。
そこまででなくても、長時間取り組んでいると、暗い例文ばかり浮かんで来て頭がぐちゃぐちゃになってくることがある。

ところで、先週の新聞に、北原白秋の子供のための「金魚」という詩が載っていた。

「金魚」
「母さん 母さん、どこへ行た/紅い金魚と遊びませう/
母さん、帰らぬ、さびしいな/金魚を一匹突き殺す」

そう、子供はこういうことをするんです!
どこへ行ったのか、お母さんがいつまで待っても帰らない。さびしい、怖い、このまま一人ぼっちになったらどうしよう・・・。
そんな恐怖心を紛らすために金魚を一匹突き殺す。

さすがに曲がついて童謡として残っている詩ではないが、昔はおとぎ話にしても児童詩にしても、プチ残酷なものはあったように思う。
「本当は怖いグリム童話」という本が数年前にベストセラーになったが、外国の童話などもなかなか残酷だ。

そんなネガティブ要素をきれいに取り払って何でもかんでも滅菌、みたいなドリルを作ることを続けていると、「わーっ」と叫んで「黒魔術」ならぬ「黒教材」を作りたくなってくる。

◎見慣れた物ばかりの部屋の中に新しい物が入って来ると、早速タビィが寄って来てとことん検証する。段ボール箱、紙袋、宅配便で届いた荷物・・・。大きさに関係なく、外から入って来た「新参者」にはすぐ気づくようだ。
家族の服やかばんなど、家から持って出た物は、また戻って来ても「うちにもともとあったもの」と分かるのか、知らんぷり。
夫が山小屋用のソファを買って一時部屋に置いたときは大物だっただけにもう大変、何十分もかけて隅から隅まで嗅いで回っていた。私が用事で部屋を出て戻って来てもまだ嗅いでいる。布地の織り目に右の鼻の穴をこすりつけては「くんくん」、左の鼻の穴をこすりつけては「くんくん」。鼻水つけながらいつまでもいつまでも・・・。
その探究心、教材編集に向いてます。
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◎ソファは先週、夫が山小屋に持って行きました。(夫撮影)
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夫は今週も山です。今度は2連泊。
「さいたま今日も36度/わたしはおうちで仕事です/金魚を一匹・・・・・・・・・」

by pataponm | 2011-07-09 08:44 | 言葉  

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